2018-01-01から1年間の記事一覧

哲学と数学ー2018年度京大理系数学第4問からー

個別指導塾の講師をしていることは前の記事で書いたが、最近は高校生を担当することが多い。そこで高校数学(数1)を教える機会があった。その子が持ってきた問題は、大学受験レベルでこそないものの、決して低レベルではなく、非常に数学らしい数学で面白か…

あ、僕「EGOIST」っていうバンドが好きです

僕は塾講師のアルバイトをしている。といっても個別指導塾なので、感覚としては家庭教師に近い。しかし家庭教師と決定的に違うのは、基本的に不特定の生徒さんを相手に授業するという点だ。今日授業する子がどんな子なのか、実際に会うまではわからない。 こ…

仏教と神経科学ー『哲学のメタモルフォーゼ』からー

最近(というか、ここ2ヶ月以上もの間)、『哲学のメタモルフォーゼ』(河本英夫・稲垣諭 編著、晃洋書房、2018)という哲学書をじっくり紐解いている。今年発売されたばかりなので、ある程度の規模の書店ならばほぼ確実に置いてあると思う。非常に興味深い…

情緒と数学ー『はじめアルゴリズム』からー

このところ古典ばかり読んでいたので、ちょっと趣向を変えてマンガの話。 『はじめアルゴリズム』(三原和人、2017–、講談社、既刊5巻)という数学に関するマンガをご存知だろうか。数学に天武の才を持つ小学五年生関口ハジメが、同郷の出身である老数学者内…

李白と数学ー『李白詩選』からー

李白は、中国盛唐時代の詩人であり、言わずと知れた「詩仙」である。私ももちろん高校の漢文の授業で幾度となく彼の詩には触れてきたが、この度ふと『李白詩選』(松浦友久編訳、1997、岩波文庫)を手にとって読んでみることにした。特に理由はなかった。た…

ケルト神話の主体形成ー『ケルト神話と中世騎士物語』からー

色々書きたいことはある。時間があるうちに書いておこう。 今回は田中仁彦氏(1995)の『ケルト神話と中世騎士物語』(中公新書)という本を読んで感じたことについて。 ケルト神話では、「他界」というモチーフが頻繁に用いられる。彼岸と言い換えてもいい…

キリスト教と仏教ー最近の読書録からー

久しぶりにブログを動かす。"serial experiments lain"の分析が空中分解してしまったので、初心に戻って何事か書く。 まずはここ1ヶ月で読んだ本(作品名のみ)を列挙する。 『ケルト神話と中世騎士物語』、『文化としての近代科学』『アカデメイア』、『聖…